幼なじみとナイショの恋。

納得いってなさそうなはるくんに顔を近づけられて、真っ赤になると同時に慌てて視線を外す。


こんな時ばかりは、私の考えてることがわかってしまう、はるくんの謎の能力を恨めしいと思う。


どうしよう。


あんな話、はるくんには絶対に知られたくないよ……。


どうかこれ以上、何も聞かないでっ……。



スカートの裾を握り、そう心の中で願っていれば。



「ひゃっ!」



突然頬に強烈な冷たさを感じで、驚きのあまり飛び上がってしまった。


状況が飲み込めないまま頬を押さえ、ひたすら困惑する。



「結衣の好きなミルクティー、コンビニに売ってたよ」


「ミ、ミル……。あ、ありがとう……」



ミルクティーのペットボトルを「はい」と言って私に手渡すと、はるくんはそれ以上何を問いたざすでもなく、厚木くん達の元へと戻っていった。



よかった……。



「あ、あの……蒔田さん……」



ほっと胸を撫で下ろしていた私に、井田さんが申し訳なさそうに声をかけてくる。



「い、井田さん!!さっきは突然暗い話をしてごめんね!!お願いだから、井田さんがそんな顔しないで?」



その表情は今にも泣き出しそうで、私は慌てて井田さんに謝罪する。
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