幼なじみとナイショの恋。
「私……図々しいこと言ってごめんなさい。でも……でも私、応援してますから!!」
「え?」
「蒔田さんが幸せになれるように、ずっとずっと、応援してますから!!」
「井田さん……」
「何かあったら、いつでも相談してくださいね!!」と涙目で私の手をとる井田さんに、つい私もつられて涙目になってしまった。
古賀さんに、初めてはるくんの話をした時も思ったけど、人の体温て温かいなぁ……。
「うん。井田さん、ありがとう……」
その手の温もりは、冷えていく私の心までも温めてくれるようだった────。
*
空が茜色に染まり始めると、私達はようやく解散することになった。
徒歩圏内に自宅がある井田さん八木くんとはたい焼き屋の前で別れ、私達とは違う方面の電車に乗る厚木くん古賀さんとは、駅の改札口で別れた。
はるくんと私は、家の最寄りの駅まで同じ電車に乗り、そこからはそれぞれ時間差で自宅へ向かうことになる。
これは、万が一お母さんと出くわしても問題ないようにと、私達の間でいつからか暗黙の了解として行われていることだった。
「今日は、すごく楽しかったね!」
電車を降り、次の電車が来るまで人がまばらのホームを私達はいつもより時間をかけて歩く。