幼なじみとナイショの恋。
「たい焼きも食べれたし?」
「うん!たい焼きもすっごく美味しかった!」
「ふ」
「あ!はるくん、今また食いしん坊って思ったでしょ!」
「バレた?」
ククッと喉を鳴らして笑うはるくん。
もー!はるくんの意地悪!
わざと唇を尖らせて見せたけど、はるくんの笑顔につられてつい私も笑ってしまった。
───今日は何だかすごく気分がいい。
茜色の空が遠くに消えていくのを見ていると、一日が終わってしまうのがもったいないなって。
そう思ってしまうくらい、とっても楽しい一日だった。
はるくんとも、今日はたくさん一緒にいられたなぁ。
いっぱい喋って、いっぱい笑った。
毎日がこんな日ならいいのになぁ。
改札へ続く階段の前で、はるくんが歩みを止める。
それに合わせて、私も。
……そっか。
この階段を上れば、はるくんとももうさよならなんだよね。
突然、名残惜しさが込み上げてくる。
気がついたら、階段に足をかけたはるくんを引き止めるように、はるくんのYシャツの裾を少しだけ摘んでしまっていた。
驚いた様子で振り返ったはるくんに「ご、ごめんなさい!」と言って、慌ててその手を離す。
何やってるんだろ私……。
はるくんと一緒にいたいと思ったら、つい勝手に手が動いてしまった。