幼なじみとナイショの恋。

「たい焼きも食べれたし?」


「うん!たい焼きもすっごく美味しかった!」


「ふ」


「あ!はるくん、今また食いしん坊って思ったでしょ!」


「バレた?」



ククッと喉を鳴らして笑うはるくん。



もー!はるくんの意地悪!



わざと唇を尖らせて見せたけど、はるくんの笑顔につられてつい私も笑ってしまった。



───今日は何だかすごく気分がいい。



茜色の空が遠くに消えていくのを見ていると、一日が終わってしまうのがもったいないなって。


そう思ってしまうくらい、とっても楽しい一日だった。


はるくんとも、今日はたくさん一緒にいられたなぁ。


いっぱい喋って、いっぱい笑った。


毎日がこんな日ならいいのになぁ。




改札へ続く階段の前で、はるくんが歩みを止める。


それに合わせて、私も。



……そっか。


この階段を上れば、はるくんとももうさよならなんだよね。



突然、名残惜しさが込み上げてくる。


気がついたら、階段に足をかけたはるくんを引き止めるように、はるくんのYシャツの裾を少しだけ摘んでしまっていた。


驚いた様子で振り返ったはるくんに「ご、ごめんなさい!」と言って、慌ててその手を離す。



何やってるんだろ私……。


はるくんと一緒にいたいと思ったら、つい勝手に手が動いてしまった。
< 161 / 341 >

この作品をシェア

pagetop