幼なじみとナイショの恋。

昔から、はるくんと一緒に帰った日は、いつも最後は離れがたくなってしまうけど、


今日は何だかいつも以上に、まだ一緒にいたいって思ってしまう。


はるくんは今、どう思っているかな?


はるくんも、そう思ってくれたらいいのにな……。


なんて、さすがにちょっと贅沢だよね。



「少し」


「え?」


「そこのベンチで話す?」



てっきり、私の心の声がはるくんに聞こえてしまったのかと思った。



いやいや、そんなわけないでしょ。



そう思いながらも、ドキドキしてる。


すると。



「もう少し、一緒にいたい」



そんなはるくんの言葉が落ちてきて、ギュッと胸が鷲掴みされたように苦しくなった。



嬉しい……。


はるくんも、一緒の気持ちでいてくれた。



ドキドキして。


くすぐったくて。



「……私も」



なんて、柄にもなく大胆な返事を返してしまっている自分がいた。








「今日、結衣ずっと楽しそうだったね」



ホームにあるオレンジ色のベンチ。


はるくんと二人肩を並べて座る。



「うん。すごく楽しかった!こんな風に、放課後友達と寄り道して帰るのなんていつぶりだろう?」



“友達”だなんて、やっぱり図々しいかな?


もしかしたら、そう思っているのは私だけかもしれないけど。


それでも……。
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