幼なじみとナイショの恋。
「嬉しかったな。もう、こんな風に放課後誰かと遊びに行くことなんてないと思ってたから……」
中学の頃は勉強に追われ、付き合いの悪い私から友達はみんな離れていってしまった。
だから、どうせまた失うくらいなら、一人ぼっちの方がずっといいって思ってた。
高校に入学しても、やっぱりその気持ちはどこかにあって。
友達を作ることに、どうしても積極的になれなくて。
そうしたら、あっという間に一人ぼっちになってた。
もう、友達なんてできないんだろうなって。
それでもいいかって、諦めかけていた矢先の今日だったから。
だから、今日はあんな風にみんなと過ごすことができて、すごくすごく嬉しかったんだ……。
────『急行電車が通過します───』
そんなアナウンスが流れるとすぐに、急行電車が駅のホームを通過していった。
「わ」
その風圧で私の長い髪が巻き上げられる。
ボサボサになった髪を慌てて手ぐしで整えていれば、はるくんの手が私の方へと伸びてきて、顔にかかった私の髪を取り耳にかけてくれた。
そんなはるくんの仕草に、つい胸が高鳴ってしまう。
「結衣が嫌だって言っても、これからしょっちゅう誘われるよ」
「そう……かな?そうだといいな」
「当たり前でしょ。今日であいつらみんな、結衣の良いとこ気づいちゃっただろうから」