幼なじみとナイショの恋。
そう言って優しく微笑むはるくん。
私の良いとこなんて、私には一つも見つけられないのに。
はるくんはどうしてそんな風に私を見てくれるのだろう?
ねぇ、はるくん。
はるくんの目に、私はどう映っていますか?
────ヴーヴー……。
スカートのポケットに入っていたスマホが突然震え出す。
ビ、ビックリした……。
ここが駅のホームだっていうこと、一瞬忘れそうになってしまった……。
「だ、誰だろ……?」
ポケットからスマホを取り出し、ディスプレイを確認する。
そこには“真人”という表示。
真人?
真人って誰だったっけ……?
メッセージアプリからの着信みたいだけど、苗字が記されていないから誰だかわからない。
人を下の名前で呼ぶことなんてないしなぁ……。
でも、このアイコン、どこかで見たことがあるような……。
恐らく愛犬の写真だろう。
可愛いチワワがこちらに向けてすました顔を向けている。
うーん。
どこだったっけ……。
どうにかして思い出そうと、記憶の引き出しを漁っていると、私の画面を覗き込んできたはるくんが「八木……?」と怪訝な顔をした。