幼なじみとナイショの恋。

そう言って優しく微笑むはるくん。



私の良いとこなんて、私には一つも見つけられないのに。


はるくんはどうしてそんな風に私を見てくれるのだろう?



ねぇ、はるくん。


はるくんの目に、私はどう映っていますか?





────ヴーヴー……。


スカートのポケットに入っていたスマホが突然震え出す。



ビ、ビックリした……。


ここが駅のホームだっていうこと、一瞬忘れそうになってしまった……。



「だ、誰だろ……?」



ポケットからスマホを取り出し、ディスプレイを確認する。


そこには“真人”という表示。



真人?


真人って誰だったっけ……?


メッセージアプリからの着信みたいだけど、苗字が記されていないから誰だかわからない。


人を下の名前で呼ぶことなんてないしなぁ……。


でも、このアイコン、どこかで見たことがあるような……。


恐らく愛犬の写真だろう。


可愛いチワワがこちらに向けてすました顔を向けている。


うーん。


どこだったっけ……。



どうにかして思い出そうと、記憶の引き出しを漁っていると、私の画面を覗き込んできたはるくんが「八木……?」と怪訝な顔をした。
< 164 / 341 >

この作品をシェア

pagetop