幼なじみとナイショの恋。
「八木……くん?」
八木くんのフルネームは確か……八木、真人くん。
あ!!
そうだ!!
このアイコンは八木くんだ!!
見覚えがあるように感じたのは、学年レクレーションの時、グループメッセージでのやり取りがあったから。
もう!
私ったら、何ですぐに気づかないんだろう!
慌てて通話ボタンを押し、スマホを耳に当てる。
「も、もしもし!?」
『あ。よかった出た。蒔田さん、突然ごめんね』
「ううん!ど、どうかした?」
電話越しとはいえ、男の子と二人で話すのは緊張する。
しかも、なぜだか隣に座るはるくんの視線がやたら痛い。
『あのさ、さっきの補習の時、俺間違えて蒔田さんのシャーペンも持ってきちゃったみたいなんだよね……』
「え!?本当!?い、今確認してみるね!」
ガサゴソとカバンの中を漁り、ペンケースを取り出す。
チャックを開けて、中を確認すると……。
本当だ。
シャーペンが入ってないや。
きっと、片付ける時に、間違って八木くんの荷物の中に紛れ込んでしまったんだろう。
『ごめんね。すぐに必要なら、俺今から蒔田さんの家まで届けるよ』
「え!?ううんううん!!家にたくさんあるから、そんなことしなくて大丈夫だよ!」