幼なじみとナイショの恋。

『本当?テスト期間前なのにごめんな。明日、責任持って学校に持っていきます』


「ありがとう!こちらこそ、わざわざごめんね!連絡ありがとう!」



そんなやり取りの後「それじゃあ、明日ね」と言って八木くんとの通話を終了した。


一気に緊張の糸が切れたのか、震える手を胸に当て、ふーと息を吐く。



あぁ。緊張した。


ちゃんと上手く喋れてたかな?



「何だった?」



はるくんが私の顔を覗き込んで、じっと見つめてくる。



「あ!はるくんごめんね!なんか、私のシャーペンが八木くんの荷物に紛れ込んじゃってたみたいで!」


「シャーペン?」


「うん。家まで届けようかって聞かれたんだけど、さすがに悪いから断ったよ」


「……ふーん」



あ、あれ?


何だった?って聞いたわりに、あんまり興味がない……?


というよりも、はるくんの表情はものすごくつまらなそう。


それに、昔からはるくんが腕を組む時は、ちょっと機嫌が悪い時。


はるくん、急にどうしたんだろう……?



一先ず、この空気をどうにかせねばと、話を膨らませてみる。



「や、八木くんて、とっても律儀な人なんだね!」


「……」


「はるくんて、素敵な友達がたくさんいて羨ましいよ!八木くんは、厚木くんとまた違った感じで、とっても優しい人だよね!」


「……」


「こ、これからもっと八木くんと仲良くなれるといいなぁー……なん……て……」
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