幼なじみとナイショの恋。
───ドクッと心臓が跳ねるのがわかった。
はるくんが、突然私の肩にもたれかかってきたのだ。
「は、は、はるく……!?」
「俺、最低かも」
「……え?」
そう言うはるくんの表情は、前髪に隠れて全く読み取ることができない。
最低って、何のことだろう……?
肩から徐々に伝わってくるはるくんの体温に、煩いくらい鼓動が早鐘を打ち始める。
────『間もなく三番線に、各駅電車が参ります。白線の内側に下がって────』
そんなアナウンスが流れた後、はるくんは再び口を開いた。
「……結衣に、仲良いヤツができて嬉しいのは本当だけど、正直ちょっと焦ってる……」
焦る?
はるくんが……?
「八木みたいないいヤツが側にいたら、いつか結衣は俺なんかいらなくなっちゃうかもって……」
その言葉に驚き目を見張る。
「俺、結衣のことなら誰よりも理解してるつもりでいた。だけど、俺はただ幼なじみってだけで、俺なんかよりもっと結衣を理解してくれるヤツが、これから現れたっておかしくないんだよなって……」
「そう思ったら、なんか焦る」そう言ってはるくんは黙り込んでしまった。
私が、はるくんをいらなくなる……?
はるくんよりも、私を理解してくれる人がこれから現れるかもしれない……?
はるくんは一体何を言っているの?