幼なじみとナイショの恋。

「とりあえず、今から担任のとこ行ってくるから」


「え?」


「面談の日程。うちの親は何曜日でもいいって言ってたし、日程を変えてもらえないか担任に聞いてみる」



その言葉に大きく目を見開く私。


さっきまで絶望に近かった心に、希望の光が射し込んでくる。



「ほ、本当!?」



はるくんは頷きながら、期待を込め見上げる私の頭をまた一撫でした。



はるくんの案が上手くいけば、鉢合わせは回避できるはず。


はるくんに手間をかけさせちゃうのはすごく心苦しいけど、今はその方法しか思いつかない。


絶対にお母さん達が鉢合わせにならないようにしなくちゃいけない。


今はそれが最優先だ。



「それじゃ、行ってくる」と言って教室の出口に向かうはるくんを「あ、待って……!」と慌てて呼び止める。



「何?」


「わ、私も行ってもいいかな!?」














「曜日を変更したい?」



私達の担任の大津先生は数学の教科担当をしている。


早速面談の日程を変更してもらおうと職員室を訪ねたら、数学科準備室に行ったと他のクラスの先生に言われてしまった。


準備室のある場所は校舎の一番上の階で「面倒くさ……」とボヤくはるくんを必死に宥めながら、ようやくその場所に辿り着いた。



大津先生は、何やら資料の整理をしながら私達の話に耳を傾けている。
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