幼なじみとナイショの恋。
「それは、うちの娘が、尾上悠斗と仲が良いということでしょうか?」
「え……と……?えぇ。いつも仲良くしていますよ。確か、幼なじみと伺っています。何かある度助け合っている感じで、とても良い関係で……」
「先生っ!!」
───神様は、何でこんなにも意地悪なの?
「結衣。これは一体、どういうこと?」
ゆっくりゆっくり。
先生から、私へと視線を移したお母さんの目は、静かな怒りで満ちていた。
「結衣」
「……っ」
全てが終わる時って、こんなにも呆気ないものなの?
10年という長い月日は、こんなにも脆いものなのだろうか。
「結衣!答えなさいっ!!」
黙っている私に、お母さんはついに声を荒らげ、それと同時に私の体がビクッと揺れる。
それを見た先生は、何事かと目を見張り、その視線は私とお母さんを行ったり来たり。
「結衣っ!!あなたまさか、あれほど言ったのに、あの子と……」
「ごめんなさい!!私……」
もう、隠し通すなんてできない。
お母さんの言いつけを守らず、10年もの間秘密にしてきたはるくんとの関係。
ここで否定をすれば、私はまたお母さんを裏切ることになってしまう。
そうすれば、またさらにはるくんが悪者になってしまうだけだ。