幼なじみとナイショの恋。
もう私に残された選択肢なんて一つしかなかった。
“お母さんに本当のことを伝える”
そして、はるくんと私の秘密の関係は、
今日でお終い。
握りしめた手が震える。
声を出そうにも、唇がわななき上手く言葉が出てこない。
その間も、10年前のあの日と同じお母さんの鋭い視線が、私を咎め続けていた。
はるくん……。
「……私は……お母さんに、10年間ずっと嘘をついてきた……」
はるくん。はるくん。
「お母さんに隠れて……はるくんとたくさん話した。笑ったり、時には喧嘩もした……」
はるくん。はるくん。はるくん……。
「そんなはるくんとの日々が、大切だったの。お母さんを裏切ってでも、はるくんの側にいたいと思った。失いたくなかった……」
「な……にを……ばかなことを……っ」
怒りで歪むお母さんの表情に、一瞬にして背筋が凍る。
あ。と思った瞬間、お母さんの手が勢いよく振り上げられ。
「目を覚ましなさいっ!!!」
「ちょ……っ蒔田さん……!!」
先生が止めるのも虚しくそれは振り下ろされ、バチンッ!という激しい音が辺りに響き渡った。
だけど……。
…………あれ?
今、確かにお母さんに叩かれたはずなのに、全く痛みを感じない。
え?