幼なじみとナイショの恋。
『はるくん……。何で?』
『結衣が公園に入ってくの見えたから』
私の異変にいち早く気づくはるくんのセンサーは、あの時からもう健在だったよね。
『だ、大丈夫だからほっといて!一緒にいるところ見られたら大変だよ』
入口からトンネルの中を覗いていたはるくんは小さく溜息をつくと、傘を閉じ、私のいるトンネルの中へと入ってくる。
『ちょっ……』
『ほっとかないよ』
『……っ』
『ほっとけるわけ、ないでしょ』
そう言って、私の隣に腰を下ろすはるくん。
触れた肩からはるくんの温かい体温が伝わってきて、冷たくなっていた心が温められていくようで。
我慢していた涙が、一気に溢れ出してしまった。
今思えばあの時、はるくんは私がそうなることをわかっていたのもしれない。
はるくんは泣きじゃくる私を見ても顔色一つ変えず、静かに寄り添っていてくれた。
優しく、私の頭を撫でながら……。
『……私、どんどん一人ぼっちになっていくの』
『一人ぼっち?』
『……うん。お父さんは小さな頃からいないし、田舎のおばあちゃんとももう全然連絡をとってない。それにね。引っ越してきてから、お母さんは仕事ばかりで、私のことなんて全然見てくれなくなったんだ。友達にもね、習い事があるからって断ってばかりいたら、全然遊びに誘われなくなっちゃったの……』