幼なじみとナイショの恋。
きっと誰かがこうしろああしろと言っても、意思にそぐわないものなら、はるくんは迷うことすらしないだろう。
人の意見に全くと言っていいほど左右されないのだ。
そんなはるくんを私はすごく尊敬してる。
そして、ちょっとばかり羨ましくも思う。
私は、貫き通せるような“強い意思”なんて持っていないから……。
「ううん。はるくんらしいよ。今のバスケ部は楽しい?」
「まーね。みんないいやつばっかだし、アホみたいにやってる。少なくとも、楽しいバスケはできてるんじゃない?」
「そっか。よかった!私、はるくんが楽しそうにバスケをしてる姿大好きだから!はるくんが楽しいと、私も嬉しい!」
零れた笑みをそのままはるくんに向けそう言うと、なぜかはるくんは目を丸くして固まってしまった。
それから手の甲で口元を抑えると、プイッとそっぽを向いてしまう。
あれ?
私、何か変なこと言っちゃったかな?
「はー……」
た、溜息までつかれちゃった……。
「……こんなん…学校離れたら心配で、バスケどころじゃないっつーの」
「え?何?はるくん今何か言った?」
何かをボソッと呟いたはるくんの声は、学校の最寄り駅に着くことを知らせるアナウンスによってかき消されてしまった。
「……何でもないよ」
「ひゃっ!」