幼なじみとナイショの恋。

はるくんは両手でグシャグシャと私の髪をかき乱すと、開いた電車の扉から、さっさと降りていってしまった。








駅から出ると、同じ制服を着た生徒達があちこちにいた。


私達の通う学校があるのは、駅から徒歩5分ほどの場所。


他に交通手段もなく、ほとんどの生徒がこの駅を利用している。



こうなると気になり始めるのが、あちこちから矢のように飛んでくる視線の数々。


といっても、それは私に向けられているものではなくて……。



「キャー!見て見て!尾上くんがいる!!」


「朝から会えるなんて超ラッキー!!」


「相変わらずカッコイイよねー!」



……はるくんに向けられたものだ。



「相変わらず、モテモテだね。はるくん」


「興味ない」



本当に興味がなさそうにあくびをしているはるくん。


ちょっとウンザリといった感じ。



それもそうか。


はるくんがモテるのは、今に始まったことじゃないもんね。




はるくんは中学生の時から女の子にモテモテだ。


小学生の頃のはるくんは女の子みたいに可愛いくて綺麗な顔をしてはいたけど、背が小さくて、特別モテるわけではなかった。


それなのに、中学校に入ると突然背が伸び出して、声も低くなって、カッコイイって言われ始めるようになった。
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