幼なじみとナイショの恋。
もしもはるくんがマネージャーさんの隣に幸せを見つけたというなら、私が想いを伝えることで二人の幸せに水を差したくはない。
もっと……早く伝えるべきだったんだ。
あれほど古賀さんに自分の気持ちを伝えなかったことで後悔するなと言われていたのに、今の私は間違いなくその状況だ。
うだうだと躊躇してばかりいるから、こういうことになるんだよね……。
はるくんがもしマネージャーさんと付き合ってしまっていたら、消化しきれない私の想いは一体どこに行くのだろう?
あの時にああしとけば。あの時にこうしとけば。
そんな思いが次々に後悔となって押し寄せてくる。
このまま後悔に囚われて、二度とこの場所から動き出せなくなってしまいそう。
古賀さんも、ずっとこんな思いをしてきたのかな?
今なら、古賀さんが伝えようとしてくれていたことの意味が、痛いほどよくわかる。
これじゃ、とてもじゃないけど、古賀さんに顔向けできない。
「私は……どうしようもないバカだ……」
ノートの上に力なく突っ伏していると、部屋のドアをノックする音がして、慌てて顔を上げた。
「はい……」
「入るわよ」
開いた扉から、スーツ姿のお母さんが顔を出した。
どうやら私が気づかない内に、仕事から帰宅したらしい。
「お帰りなさい」
「ただいま」
「気づかなくてごめんね。どうかしたの?」