幼なじみとナイショの恋。

確かに、つい数ヶ月前の私だったらどうかわからない。


お母さんの言う通り、友達と呼べる友達なんていなかったし、クラスにも全く馴染めていなかった。


だけど、今は離れたくないと思える人達がいる。


古賀さんや井田さん。厚木くんや八木くん。


みんなともっと仲良くなりたい。


たくさん話をして、たまに遊びにでかけたりして。


それは、この場所にいなきゃできないことだ。



それに、私は……────。



「お母さん……。私、留学なんてしたくない」



意を決してそういえば、お母さんの目が一度見開かれ、今度は鋭い視線に変わった。



「無理よ。もう、決めたことなの」


「そ、そんなのあまりに勝手だよ!私の気持ちはどうなっちゃうの?」



今まで、私がお母さんに食ってかかることなんてほとんどなかった。


お母さんの言うことは、いつだって絶対だったから。


だけど、今回ばかりは黙って頷くことなんてできない。


ここで頷いてしまったら、私はみんなと離れ離れになってしまう。


これじゃあ、私はまた友達を失ってしまう。


そんなの絶対に嫌だ!



そんな私に、お母さんは大きな溜息を一つつくと、冷たい声で言葉を放った。



「あなたの気持ちなんてどうでもいいの」


「……っ」



何で、そんなことを言ってのけられるんだろう……?
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