幼なじみとナイショの恋。

中学校の卒業式では、制服のボタンは全滅。


ワイシャツのボタンまで引きちぎられているのを見た時は、げっそりしたはるくんにちょっと同情してしまったっけ。


そして現在……。



「はるとくーーん!」


「キャー!こっち見た!可愛いーー!!」



先輩方にまでモテまくっているはるくんは、もはや学校のアイドルだ。



はるくんはそんじょそこらの芸能人やモデルさんよりカッコ良い。


それに、ちょっとクールだけど優しい人だから、どんどん人気者になっていくのは当然だと思う。


私みたいなのが、こうして側にいてもいいのかなって思ってしまうほど、すごくすごく素敵な男の子だもん。


だけど、なんだか年々はるくんが遠い存在になっていってしまようで……少しだけ、寂しいと思ってしまう自分もいるんだ。




「悠斗ウィーーッス!!」



突然はるくんが前のめりになったので、驚いて俯けていた顔を上げると、


そこにははるくんの背後から負ぶさるように抱きつく、厚木翔吾【あつぎしょうご】くんの姿があった。



「蒔田さんもおっはよー!」


「お、おはよう!厚木くん!」



はるくんの首にしがみついたまま白い歯を覗かせ、ニッコリと笑った厚木くんが右手を上げる。



「結衣。コイツにおはようとか言わなくていいから。ハゲる呪いがかかるよ」


「の、呪い!?」
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