幼なじみとナイショの恋。
覚えてるに決まってる。
あの日、不安に飲み込まれそうな私を、はるくんが救い出してくれた。
『ほっとけるわけ、ないでしょ』ってはるくんが側にいてくれたから、私は今でも笑うことができるんだ。
忘れるわけないよ……。
「あの時からだよね。泣きたい時いつも一人になろうとする、結衣のそのクセ」
優しく目を細めたはるくんの視線が、私をとらえる。
思わずビクッと肩を揺らすと、伸びてきた手に後ろ髪を優しくなでられた。
何で……。
「もう関わらないって言ったけど、ごめんね。多分、あれ無理。俺はさ、結衣をほっとけないクセがついてるみたいなんだよね」
そう言って、申し訳なさそうに眉尻を下げて笑うはるくん。
何でそんなことを言うの……?
はるくんの隣には、もう他の人がいるのに。
私なんかよりずっと素敵で、何の柵もなくて。
堂々と手を繋いで歩ける人が側にいるのに。
そんな優しい言葉で、もうこれ以上私の気持ちをかき乱さないで。
私の頭をなでるはるくんの手を取り制止する。
「結衣……?」
「ダメだよ。こうやって誰にでも優しくしちゃ。はるくんにはもう、大切な人がいるのに」
声が震えないように、喉に力を込めて必死に言葉を紡いでいく。