幼なじみとナイショの恋。
「もう、私は大丈夫だよ!今までいっぱい心配かけたけど、これからは、一人で泣いたりしないし!だからもう、こうして側にいてくれなくても大丈夫だから!はるくんがいなくても、大丈夫だから……」
思ってもない言葉を吐き出すって、こんなにも苦しいんだ。
喉の奥がザラザラして気持ちが悪い。
はるくんの顔を見ることができない。
だけど、こうでもしなきゃ、私はまたはるくんの優しさに甘えたくなってしまうから。
もう、私にはそんな権利ないから……。
「そっか……」
はるくんはそう言うと、私に伸ばしていた手をしまった。
「雨、上がってきた。そろそろ帰ろ」
窮屈なせいで触れていた肩の温もりも離れていく。
このまま、はるくんの背中を見送ってしまったら、今度こそ二度とはるくんに声が届かなくなってしまう。
はるくんの優しさに触れることも、もうないだろう。
はるくんに大切な人ができたら、はるくんの手を離すって、ずっと決めていたんだ。
これで……いいんだよね?
納得しようとする気持ちに反して、勝手に脳がはるくんとの10年間をフラッシュバックしてくる。
はるくんと過ごした日々は、いつだってキラキラ輝いていた。
私にとって、はるくんと過ごす一分一秒が、宝物だった。