幼なじみとナイショの恋。
そう返事をすると、ゆっくりとはるくんの体との間に空間ができる。
こんなにくっついていたのに、離れるのが寂しい、なんて思ってしまう私は、どれだけ欲張りなんだろう。
何だか照れくさくて、俯いたまま顔を上げるのを躊躇していると、旋毛の先ではるくんが「んんっ」と小さく咳払いをした。
「……まいった。思った以上に離れ難い……」
眉間にしわを寄せ、バツが悪そうにあさっての方向へと視線を流すはるくんに、同じことを思ってくれていたんだ、と嬉しくなる。
上目がちにはるくんを見上げて、頬の火照りを感じながら「……うん」と答えた。
「このまま離れないでいるのも、それはそれで色々まずいけどね」
「う……ん?」
首を傾げながら見上げる私を、はるくんは「こっちの話」と言って頭をポンポンとなでた。
色々って何だろう……?
「だからと言って、このまま家に帰すわけにもいかないし。おばさん、もう帰ってきてるんでしょ?」
「う、うん……」
「そんな格好で帰ったら、またややこしいことになりそうだよね」
何でお母さんが帰ってることを知っているんだろう?一瞬そんな疑問が浮かんだけど、そんなのは直ぐに消えた。
私のことなら、何でもお見通しなはるくんのことだ。