幼なじみとナイショの恋。

私がこの公園で佇んでいた原因が、何となくお母さんであることくらい予想がついているのだろう。



私が言い淀んでいると。



「……まぁ、いい機会か」


「え?」



顎に手を当てたはるくんは、ひとり言のように呟いて「ついてきて」と言って私の手を引き歩き出した。







そして、今に至る。というわけなのだが……。



はるくん。


この状況は聞いてないよ〜〜!!!




はるくんのお母さんは、リビングダイニングの入口に立つ私達を交互に見て、何かを悟ったのか溜息をつきながらおでこに手を当て項垂れた。



「話があるんだけど」



その様子を気にする素振りもなく、いたっていつものトーンで話を切り出そうとするはるくんに、はるくんのお母さんは手の平を前に突き出して制止する。



「先に二人共、シャワーを浴びなさい。話はその後でね」














「あのっ……シャワー、ありがとうございました!」



ダイニングテーブルに向かい合って座るはるくんとはるくんのお母さんに声をかけると、二人は同じタイミングでそっくりな顔を向けた。



「ちゃんと、温まった?夏でもあれだけ濡れていれば体温が奪われるんだからね」



言う言葉まではるくんにそっくりだ。


思わず緩みそうになる頬を、慌てて引き締める。



「はい!ありがとうございます!あ、あと、洋服まで借りてしまって……」
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