幼なじみとナイショの恋。
「いいのよ。おばさんの服だけど、着てきた服は乾燥機にかけているから、乾くまで我慢してね」
「ありがとうございます」とふたたび頭を下げれば、はるくんのお母さんは優しく笑みを浮かべた。
もっと拒絶されてしまうと思っていたから…いや、そうされてもおかしくないと思っていたから、ずっと身構えていた肩の力が少しだけ和らいでいく。
「悠斗もシャワー浴びてきなさい」
「……」
「そんな顔しなくても大丈夫よ。何もとって食いやしないから」
ニヤニヤとはるくんを見るはるくんのお母さん。なにか物言いたげにじと目を向けるはるくん。
はるくんは私とお母さんを二人にするのを躊躇っているみたい。
「はるくん。先にシャワーありがとう。風邪引いちゃうから、はるくんも入ってきて?」
私がそう言うと、はるくんはしぶしぶ椅子から立ち上がり「すぐ入ってくるから待ってて」と、まだ湿っている私の髪をくしゃりとなでてリビングダイニングを出ていった。
「息子が女の子にデレてる姿を見ることになるなんて。何だか歳を感じるなぁ……」
テーブルに頬杖をつき、わざと遠い目をしてみせるはるくんのお母さんに、いたたまれない気持ちで赤くなっていれば、ふふっと笑ったはるくんのお母さんに「とりあえず、座って?」と促された。