幼なじみとナイショの恋。
「ん……」
鳥のさえずりに誘われるようにして、重たいまぶたをゆっくりと持ち上げる。
ぼんやりとした視界に映ったのは、カーテンの隙間から差し込む日射しに照らされた、年季の入った写真立て。
そこに映っている二人は、楽しそうにこちらに向けてポーズをとっている。
男の子の方は、ちょっとぶっきらぼうにピースサイン。
一方、写真の中の女の子は、満面の笑みで両手にピースサインを作っている。
────これは、幼い頃の私。
確か、小学校一年生の遠足の時の写真だ。
あの頃の私は、一体どんな気持ちでこんな風に無邪気な顔で笑っていたんだろう?
はぁっと一つ溜息をつき、朧気な意識のまま枕元に手を伸ばす。
指先にあたったスマートフォンを取り、霞む目を擦りながら時間を確認。
すると。
「わっ!もうこんな時間!」
とっくに目覚ましをセットした時間は過ぎていた。
どうやら無意識にスマートフォンの目覚ましを止めてしまっていたらしい。
「もう!いつもこうなんだから!」
慌ててベッドから起き上がり、バタバタと洗面台へ。
身支度を整え仕上がったのは、家を出る予定の時刻まで後5分といったところ。
いつも、何だかんだ間に合っちゃうから、寝坊癖が直らないんだよね。