幼なじみとナイショの恋。
今日は雲一つない快晴で、絶好の登山日和。
今朝、慌てて用意をしながら見た天気予報では、汗ばむくらい暖かくなると言っていた。
私達が座ろうとしているベンチも柔らかな朝日が射していて、暖かな陽だまりができている。
「……」
「……」
ベンチに腰を下ろすとしばしの沈黙。
そういえば、今まではるくん以外の男の子と二人きりになったことなんてほとんどなかった……。
最初の頃は挨拶くらいしかできなかった私も、はるくんがいれば何とか厚木くんとも会話ができるまでになった。
他の男の子達に比べれば、厚木くんはすごく話しやすい人だと思う。
だけど、さすがにこうして二人きりだと、まだすごく緊張してしまう。
何か話さなきゃって思うのに、どうやって話を切り出せばいいのかもわからない。
私と二人とか、厚木くん嫌じゃないかな?
楽しい話一つできなくて、申し訳なさすぎるよ。
これだから私は、友達の一人もできないんだ……。
「そういえばさ、蒔田さんが古賀さんを説得してくれたんだって?」
そんな私の心配とは裏腹に、いつも通りの様子で話しかけてくれる厚木くん。
沈黙が破られてホッとする。
「まさか、あの古賀さんがうちのグループに入るとは思わなかったからマジで驚いた!なんて言って説得したの?」