幼なじみとナイショの恋。
自分の意思をしっかりと持った、あの力強くて真っ直ぐな瞳とか。
「だから古賀さん、蒔田さんのこと気に入ったのかもしんないね」
「え??」
“はるくんと似ている”と“私を気に入る”の何がつながっているのかわからず、一人で妙に納得している厚木くんをついキョトンと見てしまう。
「だってほら!悠斗は蒔田さんのこと好……」
「余計なこと言ってんじゃねーよ」
声がした方を咄嗟に見れば、不機嫌な様子のはるくんが駅から出てくるところだった。
厚木くんが「げっ!!」と声を漏らす。
「遅れてすみません〜〜!!」
はるくんの後ろには、半べそをかいている井田さんの姿も。
どうやら、二人は一緒の電車だったようだ。
「二人共頼むよ〜!てか、悠斗はどうせ寝坊だろうけどさ、井田さんの遅刻の理由に俺はビックリだよ!朝から一体なんのアニメ観てたのさ!」
「うわぁぁぁ!すみません!すみませんんんん!アンガス王子がヴィオラへの恋を自覚する神回でしてぇぇ!!」
「全っ然わかんねぇぇ!!」
厚木くんと井田さんのそんなやり取りを尻目に、くあっと欠伸をしているはるくんは、きっと昨日もゲームで徹夜したんだろう。