幼なじみとナイショの恋。
そんな私達と並んで歩くはるくんは寝不足のせいか、さっきからずっと眠たそうにあくびばかりしている。
もう、はるくんてば……。
それにしたって、あんなにスタスタ歩いて、古賀さんすごいなぁ。
運動、得意なのかな?
厚木くんも八木くんもとっても足取りが軽いし、このままじゃ私足でまといになっちゃうよ……。
トホホと溜息をつく私の横で、はるくんがクスッと息を漏らした。
「相変わらず、体力ないのな」
「うっ……。はるくんは、さすが運動部だね。息一つ乱れてない」
「そう?だるいことこの上ないけど」
はるくんはそう言うけど、本当はこんな坂道なんてことないんだ。
いつも部活では、もっと過酷な運動をしているんだもんね。
だけどきっと、遅れて歩く私と井田さんを気にして、こうしてペースを合わせてくれている。
「はるくん……あの……先に言っとくね!もし私が足でまといになるようなら、遠慮なくおいて行ってね!!もう、全然気にせず先に行っちゃっていいからね!!」
説得するようにはるくんを見上げると、はるくんは「しょっぱなから弱気すぎ」と笑っている。
笑いごとじゃないんだよぉ。
こんな険しい山を登りきるなんて、本当はできる気がしないんだ。
はるくんの言う通り、体力はないし。
運動だって全然得意じゃないし。
本当は今すぐにでも諦めて下山してしまいたい気持ちでいっぱい。