幼なじみとナイショの恋。
生徒達の点呼を取っている先生に声をかけられ、各々名前を伝えていく。
「あれ?あなた達のグループの古賀みずきさんはどうしたの?」
「え!?古賀さん、先に着いてないんですか!?」
「ゴールした生徒は、一人残らずチェックしているはずだけど、古賀さんはまだみたい。まさかあなた達、はぐれてしまったの?」
衝撃の事実を知った厚木くんが、青い顔で私達の方を振り返る。
う、うそ……。
ここまで来る途中、古賀さんを追い抜いてしまった?
ううん。そんな覚えはない。
細い山道だったし、そうなれば絶対に気付くはず。
じゃあ、古賀さんはどこに行ってしまったのだろう?
以前、厚木くんが言っていた言葉が、不吉にも脳裏に浮かぶ。
“去年コレやった時危うく遭難者出そうになったらしいよ。しかも、崖ギリギリの険しい道とかあって、結構辛かったって”
サーッと血の気が引いていく。
そう言えば、ここに着くまでに分かれ道があった。
道が細くなっていて、崖ギリギリでヒヤヒヤするポイントも。
もしかして……。
「わ、私、戻ってみる!!」
「結衣っ!!」
衝動的に走り出す私を止めるはるくんの声が聞こえたけど、私の頭の中は古賀さんのことでいっぱいだった。
やっぱり、あの時先に行こうとする古賀さんを止めるべきだった。