幼なじみとナイショの恋。

生徒達の点呼を取っている先生に声をかけられ、各々名前を伝えていく。



「あれ?あなた達のグループの古賀みずきさんはどうしたの?」


「え!?古賀さん、先に着いてないんですか!?」


「ゴールした生徒は、一人残らずチェックしているはずだけど、古賀さんはまだみたい。まさかあなた達、はぐれてしまったの?」



衝撃の事実を知った厚木くんが、青い顔で私達の方を振り返る。



う、うそ……。



ここまで来る途中、古賀さんを追い抜いてしまった?


ううん。そんな覚えはない。


細い山道だったし、そうなれば絶対に気付くはず。


じゃあ、古賀さんはどこに行ってしまったのだろう?



以前、厚木くんが言っていた言葉が、不吉にも脳裏に浮かぶ。



“去年コレやった時危うく遭難者出そうになったらしいよ。しかも、崖ギリギリの険しい道とかあって、結構辛かったって”



サーッと血の気が引いていく。



そう言えば、ここに着くまでに分かれ道があった。


道が細くなっていて、崖ギリギリでヒヤヒヤするポイントも。


もしかして……。



「わ、私、戻ってみる!!」


「結衣っ!!」



衝動的に走り出す私を止めるはるくんの声が聞こえたけど、私の頭の中は古賀さんのことでいっぱいだった。



やっぱり、あの時先に行こうとする古賀さんを止めるべきだった。
< 76 / 341 >

この作品をシェア

pagetop