幼なじみとナイショの恋。

嫌われていたって何だっていい。


“一緒に行動しよう”って、ちゃんと誘うべきだったんだ。


古賀さんに何かあったらどうしよう。


ううん!そんなこと考えちゃダメ!


大丈夫!


戻ればきっと、古賀さんに会えるはず。






そう思っていたのに───。



「いない……」



来た道を戻りながら、途中にある休憩スペースやお手洗いの中も確認したけど、古賀さんはいなかった。


山道を歩く人にも注意を向けているけど、古賀さんの姿は一向に見当たらない。



そうこうしているうちに、朝あんなに晴れていた空がどんよりとした灰色の雲に覆われ始めた。


今にも雨が降り出しそう。



「天気予報の嘘つき……」



山の天気は変わりやすいって言うけれど、今日だけは見逃してほしかった。


もしも古賀さんが道に迷ってしまっているなら早く見つけ出さないと、何だか大変なことになる予感がする。






さっきみんなで登っている時に通りがかった分かれ道のところまでやってきて、私はその足を止めた。


古賀さんがいるとしたら、何となくこの道の先のような気がする。


だけど、指定された山道以外を行くのはなかなかの勇気が必要だ。
< 77 / 341 >

この作品をシェア

pagetop