幼なじみとナイショの恋。

この道がどこに繋がっているのか分からないし。


ましてや、安全なのかどうかすらも分からない。


雲行きが怪しくなってきたせいで、森の中が薄暗くなってきたのも躊躇してしまう理由の一つだろう。


ちょっとだけ、怖い。


だけど───。



靴と地面が擦れ、ジャリッと音を立てる。


私は、意を決して分かれ道の先へと歩みを進めた。












「古賀さーん!いますかー!?」



分かれ道の先は、さっきまでいた山道よりも大分細い道になっていた。


奥に行けば行くほど道幅が狭くなっていく。


一般の登山者にはあまり使われていない道なのか、歩けど歩けど人っ子一人見当たらない。



こんな道に入れば、いくらなんでも引き返そうと思うよね。


この道を行けば古賀さんがいるだなんて、やっぱり私の勘違いだったのかも。



鼻の頭にポツリと水滴が落ちてくる。


どうやらついに雨が降り始めてしまったようだ。



取り敢えず、元いた道に戻ろう。



そう思い引き返そうとすれば。



「クシュン!」



え?クシャミ?


キョロキョロと辺りを見回すも、誰も見当たらない。



空耳……?



「ハックション!!」



ううん。空耳なんかじゃない。
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