幼なじみとナイショの恋。
この道がどこに繋がっているのか分からないし。
ましてや、安全なのかどうかすらも分からない。
雲行きが怪しくなってきたせいで、森の中が薄暗くなってきたのも躊躇してしまう理由の一つだろう。
ちょっとだけ、怖い。
だけど───。
靴と地面が擦れ、ジャリッと音を立てる。
私は、意を決して分かれ道の先へと歩みを進めた。
*
「古賀さーん!いますかー!?」
分かれ道の先は、さっきまでいた山道よりも大分細い道になっていた。
奥に行けば行くほど道幅が狭くなっていく。
一般の登山者にはあまり使われていない道なのか、歩けど歩けど人っ子一人見当たらない。
こんな道に入れば、いくらなんでも引き返そうと思うよね。
この道を行けば古賀さんがいるだなんて、やっぱり私の勘違いだったのかも。
鼻の頭にポツリと水滴が落ちてくる。
どうやらついに雨が降り始めてしまったようだ。
取り敢えず、元いた道に戻ろう。
そう思い引き返そうとすれば。
「クシュン!」
え?クシャミ?
キョロキョロと辺りを見回すも、誰も見当たらない。
空耳……?
「ハックション!!」
ううん。空耳なんかじゃない。