幼なじみとナイショの恋。

音のした方に歩みを進めていくと、崖になっている道の脇に辿り着いた。


足を滑らせないよう、恐る恐るその崖を覗き込めば。



「こ、古賀さん!!!」



崖下で膝を抱え佇んでいる古賀さんを発見した。


古賀さんは私に気が付くと、目を見開き驚いた様子。



「……は?あんた、何でここに……」


「ま、待ってて古賀さん!!今助けるから!!」


「ちょっ……待っ……!!」



意を決して、私は古賀さんがいる崖下まで滑り下りる。


崖はかなりの急斜面になっていて、滑り下りる際に、派手に手を擦りむいてしまった。


だけど、その痛みなんか感じないくらい、目の前にいる探していた人の姿に心底ホッとして……。



私は重大なことに気づいていなかったんだ。



「古賀さん!!よかった!!見つかってよかった!!怪我はない?どうしてこんなとこに……」


「全っっ然よくない!!!」


「へ?」



私なんかが来たところで、喜んでもらえるとは思っていなかったけど、古賀さんはなぜかご立腹のようで……。


私が目を瞬かせ、首を傾げれば。



「あんたバカなの!?あんたまで下に降りてきたら、どうやってこの崖を登るのよ!!!」


「あ」



言われてみれば……なんて、悠長に納得している場合じゃない。
< 79 / 341 >

この作品をシェア

pagetop