幼なじみとナイショの恋。
私……私……。


どうしてそんなことにも気付かなかったんだろう!?!?



「どどどどどうしよう!!!わ、私、頑張って登ってみるね!!!」



と、崖をよじ登ろうと奮闘するが……。



「登れない…………」


「無理だから。私も何度も試したし。そもそもあんた運動ダメそうじゃん。絶対無理」


「だ、だよね……」



私、何やってるんだろう?


古賀さんを助けに来たのに、私まで遭難してしまうなんて……。


バカすぎて、言葉も失うほどだ。



「分かったら大人しくしてなよ。余計な体力使わない方がいい。助けがいつになるか分からないし」


「う、うん。そうだね……」








雨が木の葉にあたる音が、激しさを増す。


私と古賀さんは木の下に移動して、来る宛もない助けを待つことにした。



木の下にいるとはいえ、葉の隙間から零れ落ちてくる雨が、私と古賀さんの服を濡らし、容赦なく体温を奪っていく。


雨を伴う5月の山の気温は、長袖ジャージを着ていても震えが起こるほど冷え込み、自分の犯したミスの重大さを突きつけてくる。



「古賀さん、ごめんね……。なんか私、全然ダメで……」



自分がここまでバカなヤツだとは、正直思わなかった。


古賀さんを見つけた時、私が崖を下りたりせずに助けを呼びに行けば、古賀さんはもうとっくに助かっていたかもしれないのに……。
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