幼なじみとナイショの恋。
古賀さんはそれ以上は何も語らない。
だから、私もそれ以上は問わない。
古賀さんは、代わりにふと表情を緩めると。
「あんたが助けに来てくれてよかったよ。結構一人で心細かったからさ」
そう言って、アーモンド型の大きな目を細めて笑った。
古賀さんが、笑ってくれた……。
「っ!!」
衝動的に立ち上がる私。
古賀さんが「何?」と眉根を寄せる。
「私、いつでも駆けつけるよっ!」
「は?」
「古賀さんが心細い時は、こうしていつでも駆けつけるよっ!!」
すると古賀さんは一度目を見開いて、それから「崖は下りてこなくていいけどね」と言ってまた笑った。
「あんたさ?本当バカなの?」
「ご、ごめんなさい……」
スマートフォンを握りしめ、平謝りする私。
何とか助けを呼べないものかと考えていたら、古賀さんに「スマホ持ってないの?」と聞かれはっとする。
何でも古賀さんのスマートフォンは、お尻のポケットに入れて持ち歩いていたらしく、崖から落ちて尻もちをついた際に液晶が割れて動かなくなってしまったらしい。
電源は入るのに、バキバキに割れて真っ黒なままの画面は、落ちた時の衝撃がうかがえる。
さすがに古賀さんのスマートフォンでは連絡を取るのは無理だけど、私のスマートフォンからなら……!