幼なじみとナイショの恋。
と、ポケットを漁り、取り出してすぐに青ざめた。
私のスマートフォンは、充電がなくなり、すっかり電源が切れてしまっていたのだ。
じろりと私を見てくる古賀さんに「き、昨日充電し忘れちゃって……へへへ」と誤魔化すように笑っていたら、見事“バカ”という称号をいただいてしまった。
「あんた、本当に噂の優等生なわけ?」
「あはは。それ、はるくんにもよく言われるなぁ」
「まったく……。のんきなヤツ」
そう言いながら、古賀さんが身震いをする。
雨に濡れ、大分体が冷えているのだろう。
顔の血色も悪い。
かくいう私も、さっきから震えが止まらない。
だけど、どこかのん気でいられるのは、一つ信じていることがあるから。
「大丈夫。きっともうすぐ、はるくんが来てくれるはずだから」
そう。
私が一人でここに向かってから、体感で一時間くらいは経っているだろう。
それなのに戻って来ないとなれば、心配性のはるくんのことだから、きっと探してくれているはず。
「すごい自信。いくらなんでもこの雨の中、自ら探すようなことはしないでしょ。先生達も止めるだろうし」
「ううん。はるくんは、探してると思う」
「何でそう思うわけ?」
何で?
何でだろう?
明確な根拠なんかないけど、しいて言うなら……。