幼なじみとナイショの恋。

「今まで一度だって、私が困っている時にはるくんが現れなかったことってないの」



そう。


ただの一度だって。


どんな場所にいたって、はるくんは見つけ出してくれた。


きっと、今日だって……。



なぜかそう、確信してる。



「ふーん」と古賀さんが相槌を打つ。



「あんたって、尾上のことが好きなんだね」


「えぇっ!?!?」



思わぬ古賀さんの指摘に、驚きのあまり後退りをすれば、木の幹に思いきり頭をぶつけてしまった。



「わ、わわわわ私、そんなこと言ってな……」


「狼狽えすぎ。カマかけただけなのに、バレバレだっての」


「う"っ……」



う、嘘だ。


ずっと私だけの秘密にしてきたことが、こんなにあっさり人に知られてしまうなんて。


古賀さんはエスパーなの!?



「付き合ってるんだ?」


「つっ!?まさか!!付き合ってなんかないよ!!」


「告白は?」


「し、してない…」


「えーだるー。幼なじみなんでしょ?タイミングなんていくらでもあったんじゃん?さっさと伝えればいいのに」



伝えるタイミングか……。



「……伝えるつもりは……ないの」



中学生になって、初めてはるくんが告白されたと聞いた日も。


バレンタインに、みんなが好きな人にチョコを渡していた時も。


修学旅行の夜、突然始まった告白タイムの時も。
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