幼なじみとナイショの恋。

だからほっとしてたのに……。


何でわかったんだ?


母親の勘てやつか?




「当たりみたいね」


「……別に」


「隠さなくてもわかるわよ。あんたが必死になるのは、昔からあの子が絡んでいる時だけだもの」



眉尻を下げて苦笑する母さんは、わかりやすく複雑な表情をしている。


“そんなことない”とは否定できない俺も大概に馬鹿正直な人間だけど。


血は争えないな……。



「だけど、あの子だけはお母さん“そういう関係”にならないでほしい。ごめんね。大人の事情に子供達を巻き込んじゃいけないとは思っているの。だけど、大切な息子が辛い思いをするとわかっていて、それを黙認しているなんてできない……」



母さんは、大きな溜息をつきながらしわが寄った眉間を押さえ、苦悶の表情を浮かべる。



母さんの中でも葛藤があるのはわかっているから、俺にそれを責めることはできない。


だけど、だからと言って、俺にだって譲れないものがある。


今更、結衣に対するこの気持ちを知らなかった頃の自分になんて戻れないんだ。
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