みんとキャンディ
「……お邪魔します」

ペコリと頭を下げる聖梨を見上げ、



「皇兄の彼女?」



楽しそうに笑う藍楽が尋ねてきた。



「ううん……わたしは……」



首を左右に振って否定する。



「じゃあじゃあ! 皇兄に気がある?」


中学生の藍楽にとって、この手の話は興味が強くひかれる話題。



気があるか無いかと言えば……あるのかもしれないが……。



残念ながら、一目惚れの片想いだが……叶いそうもない。



片想い歴二日の聖梨は早くも、恋の行方を悟りつつあった。



思わず黙り込み、俯いた聖梨に、



「いずれにしても、兄貴はオススメしないな。良いのは見た目だけ」



皇楽と年子で高校一年生の雄楽(ゆうが)は、聖梨を上目に窺った。



不思議そうに首を傾げる聖梨に、雄楽はリビングの扉を開けて中へと促した。




その先に広がる光景。



取り入れたばかりの洗濯物をいそいそと畳んでいる聖梨の王子様……。



洗濯物の山に埋もれる皇楽は、夕暮れのリビングにはあまりにもミスマッチ。



更に……、



手元にあるスーパーのチラシを熱心に眺め、何やらブツブツと呟いている。
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