みんとキャンディ
聖梨の騎士様
「あっ、雄楽くん。おかえり」
サッカー部の練習を終えた雄楽が、疲れ切った体を引きずるようにして歩いていた帰り道。
呼ばれた声に振り返ってみれば、
スーパーの袋に入れたサラダ油二本を提げる聖梨の姿があった。
高原家を支える自分の兄に怪我をさせた、という理由で高原家の家事を手伝うこの一個上の女の子。
寒い冬の夕方。
既に沈みきった暗い道を、一人で歩く聖梨の無防備さに雄楽は眉を顰めた。
「……何やってんの?」
「おつかい。天ぷら用の油が汚れてたから」
にこやかに答える聖梨を、雄楽は怪訝そうに見上げる。
「今日の夕ご飯は天ぷらだよ」
自分よりも年齢も身長も上である聖梨を、
雄楽は密かに気にかけていた。
自分の兄に想いを寄せる彼女は、
女であることに何故か控え目で、
重たい荷物だって当たり前のように兄に代わって持っていた。
今だってそうだ。
サラダ油だけなら左手を使えば済むのに、
わざわざ暗がりの中に女の子を一人で出させる兄に、軽く怒りが湧いた。
サッカー部の練習を終えた雄楽が、疲れ切った体を引きずるようにして歩いていた帰り道。
呼ばれた声に振り返ってみれば、
スーパーの袋に入れたサラダ油二本を提げる聖梨の姿があった。
高原家を支える自分の兄に怪我をさせた、という理由で高原家の家事を手伝うこの一個上の女の子。
寒い冬の夕方。
既に沈みきった暗い道を、一人で歩く聖梨の無防備さに雄楽は眉を顰めた。
「……何やってんの?」
「おつかい。天ぷら用の油が汚れてたから」
にこやかに答える聖梨を、雄楽は怪訝そうに見上げる。
「今日の夕ご飯は天ぷらだよ」
自分よりも年齢も身長も上である聖梨を、
雄楽は密かに気にかけていた。
自分の兄に想いを寄せる彼女は、
女であることに何故か控え目で、
重たい荷物だって当たり前のように兄に代わって持っていた。
今だってそうだ。
サラダ油だけなら左手を使えば済むのに、
わざわざ暗がりの中に女の子を一人で出させる兄に、軽く怒りが湧いた。