みんとキャンディ
胸元から見上げる聖梨にそっと顔を寄せる。



近づいた自分の顔に、



聖梨は驚いたように目を見張った。




その表情を見たら、



自分は自惚れた勘違いをしていたのかと、不安がよぎる。




近づいた雄楽の瞳が、



俯いた一瞬。




「っ!」



雄楽の唇を掠めた柔らかい感触に、



雄楽は慌てて視線を上げた。




「……来てくれてありがとう。雄楽くん」



はにかんだ聖梨の笑顔に、




雄楽は満面の笑みを返した。


満たされた感情が、




全身から溢れ出してしまいそうなくらい、



今の雄楽を満たしていた。





さっきまでと変わらない関係。



でも、



確かに残る唇の感触と、



聖梨の笑顔は、



紛れもなく自分だけに与えられたもの。



雄楽の中は聖梨で満たされる。




あわよくば、




聖梨の中にも、




自分という存在が大きくなって欲しいと、



雄楽は願うのだった。
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