みんとキャンディ
涙を目に溜めて、雄楽を悔しそうに見上げる瑞香。




そんな瑞香に雄楽は力無く微笑みかけ、


「……自分でもそう思う」



こう言って、瑞香の頭を軽く撫でた。




「だったらっ!」


「それでも譲れない。……聖梨だけで良いんだ。俺は」




何をしても皇楽には敵わないとわかった。



だから、



聖梨だけは譲れない。



聖梨だけは自分の手の中に掴んでおきたかった。



出口に向かって身を翻した雄楽に、



「……やっぱりバカだよ」



瑞香はそっと身を寄せた。



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