みんとキャンディ
放課後。



すっかり人の出払った教室に、二人は向かい合って立っていた。



何日かぶりに顔を合わせた二人の間にあるのは重い沈黙のみ……。



さっきからずっと無表情で視線を泳がせる雄楽を、聖梨は複雑な表情で見つめていた。




「雄楽くん……」


「…………」



沈黙を破った聖梨を、雄楽の視線がゆっくりと捉えていく。



「……わたし、雄楽くんが好きだよ」



こう言って笑う聖梨は、今まで見たことも無いくらいに苦々しい。




自分が守りたいと思っていた笑顔は、



気付けば自分の目の前で消えてしまいそうに揺れている……。



ただ、守りたかった。



聖梨の中の女の子らしい感情や、



無防備な笑顔、



自分を思ってくれる大切な大切な気持ち。




それをただ、守りたかっただけなのに、



そんな自分の独りよがりで子どもっぽい感情が……聖梨を苦しめている……。




優季に言われた言葉が、あの時からずっと離れない。
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