DREAM
契約
私の家が突然、火事になったのだ。

私は慌ててお母さんを探しに行った。

だけど、お母さんはどこにもいなかった。

きっと、先に逃げたんだろうと思って私は家を出た。

家から出てもお母さんはいなかった。

代わりにいたのはあの男だった。

「なんだ、生きてたのか」

あの男はそれだけ言い残して私から通り過ぎた。

そこで私は家を見つめた。よく見るとお母さんがまだ家の中にいた。

私は急いで家の中に入ろうとした。

だけど、消防の人が私を止めた。

「まだ、火が消えていないんだ！入ったら危険だ」

「お母さんが！中にお母さんがいるんです！早く助けないと！」

私は必死にその人に言った。
お母さんを助けるために。
きっとこの人たちなら助けてくれる。そう思った。
だけど、帰ってきた答えは想像してたのとは違っていた。

「ああ、この火の回り様じゃ救出するのは不可能だ。諦めて、お母さんとお別れを言いなさい」

思えばこの言葉で私はアイツを呼び出すきっかけになったのかもしれない。

諦める？どこの世の中にお母さんを諦められる人がいるのか私には理解出来なかった。

あの男のように暴力を奮っていたのなら別だ。
だが、お母さんはいつも私を助けてくれた。
よく見るとたまに殴られたあとがあった。

きっとあの男に殴られたのだろう。

この時、家に残っていたのがお母さんじゃなくてあの男だったなら私はアイツを呼び出してはいないだろう。

私がアイツを呼び出せたのは1冊の本からだった。



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