いつか、眠るまで
ワタシノヒミツ
忘れてたの──幸せすぎて
「教室って、こんなに静かなんだ。」
みんながいなくなった放課後の教室。
テストの時より静かで、少し寂しい感じがする。
耳を澄まさなくても、廊下の足音が聞こえる。
…きた。
ガラッという音をたてて開く扉から見えたのは、那音の姿だった。
「ごめん、未亜。遅くなった。」
汗、めっちゃかいてるし。
どんだけ急いで来たんだっつーの。
風が、窓辺にいた私の髪の隙間に入っていく。
目の前には、黒い髪。
そして、私があのことを言わなくちゃいけない相手は、この黒いカーテンの奥にいる。
やがて、風は収まって那音が目に映る。
「未亜?」
那音、ごめんね。
「那音、今日は大事な話があるの。私ね───」