君と特別な日を過ごす方法 ~長谷川誠の苦悩~
そんな俺の気持ちなど分かり切ってると言った様子で、

「違いますよ。副社長。私が心配しているのは体ですからね。コーヒーを入れるのなんてすぐなんですから」
莉乃は柔らかく微笑むと俺の瞳を覗き込んだ。

出会った時から俺はこの瞳に弱い。
気づかないうちに俺は恋に落ちていたんだと思う。

「ありがとう」
拭き終わった莉乃をグイッと自分の方に抱き寄せると、莉乃は慌てて手を上にあげて、俺を甘く睨んだ。

「副社長!手が濡れてます……」
莉乃の手首をそっと自分の手で拘束し、腰を抱き寄せると俺は自分の膝の上に莉乃を乗せた。

「いつもありがとう。でももうあがって」
そう言って甘く唇を奪うと、

「誠が放してくれないから帰れない……」
上目遣いで見られて、俺はまた莉乃の唇を塞いだ。

莉乃も手が俺の肩につかないように、首に手を回してきたことが分かり、キスが深くなっていく。

おっと……。

慌てて莉乃から離れると、最後に莉乃の頬にキスを落とした。

「これ以上すると止まらなくなるな」
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