イジワル専務の極上な愛し方
そこは、車を停めて外へ出られるスペースになっている場所。

昼間は特に、観光客やカップルが、橋から眺められる海を写メに撮ったりしているスポットだった。

今は夜で週末でもないからか、他に停まっている車はない。

「専務? どうかされたんですか?」

突然車を停めるから、なにかあるのかと心配になる。重要な話でもあるのか、それともやっぱり私の家は遠かった?

あれこれ考えていると、専務に真っすぐ見つめられた。

「こうやって二人でいても、田辺さんはまるで俺のことを意識しないんだな」

「え? そ、そんなことないですよ。専務とご一緒だと思うと、緊張でいっぱいですから」

もしかして、私の態度が気に触ったのかな。そんなに緊張感がなかったのかと、反省していると、専務は呆れたような表情をした。

「そうじゃないよ。俺のことを、一人の男として見てないってこと」

「せ、専務……?」

なにを、言われているんだろう。専務は、なにが言いたいの……?

困惑しながら彼を見つめていると、専務は真面目な顔つきでゆっくりと言った。

「田辺さん、俺と付き合ってくれないか?」
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