イジワル専務の極上な愛し方
「え……?」

すぐには理解できなくて、呆然とする。付き合ってほしいって、専務が私を好きということ?

混乱するなかで、専務が静かに問いかけてきた。

「田辺さんが、俺を恋愛対象として見ていないことは分かってる。だけど、望みくらいはない?」

「望みですか……?」

「そう、絶対に俺を好きになれそうにない? それとも、少しは可能性ある?」

そう聞かれて、動揺していた気持ちがちょっとずつ冷静になる。専務は、女性関係が派手そうで苦手意識があった。

だけど、実はそうじゃないみたいだとは分かったけれど……。

「どうして、私なんですか……?」

それを教えてもらいたくて、彼の質問には答えず疑問を投げかける。すると、専務は小さく微笑んだ。

「田辺さんが、俺に全然興味を持たないから。少なくとも、肩書きとか表面的なものが、魅力的に映らないんだろなって思ったからだよ」

「それだけ……ですか?」

それだと、もし私が少しでも専務の肩書きなり地位に興味を示せば、こうやって告白されることはなかったってことよね?

なんだか、複雑な気持ち。私のなにかを好きになってくれたというなら、嬉しいのだけど……。

「それだけって、大きな理由だろう? 俺は、田辺さんの人間性に惹かれたんだ」
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