イジワル専務の極上な愛し方
「え……?」
ドキッと胸が高鳴る。翔太さんは、差し出していた手を戻すと、優しく言った。
「その話は、また今夜。ほら、行こう。業務時間が始まる」
彼は身を翻すと、エレベーターへ向かった。私はその背中を見つめながら、一歩後ろを歩いていく。
翔太さんが、今朝迎えに来てくれた気遣いや、さっきも手を差し出してくれたこと。そして、今のセリフ……。
どれもが、私の心を揺らしていて、今夜を待ち遠しく思う自分がいた──。
《彩奈、今送ったメールを見てくれるか?》
業務が始まり、今日も忙しい一日が始まる。午前の仕事が三十分過ぎたところで、翔太さんから内線電話がかかってきた。
わざわざ電話で知らせてくるくらいだから、よほど急ぎの内容なのだろう。
「はい、分かりました。すぐに確認します」
電話を切ると、メールをチェックする。すると、たしかに翔太さんからのメールがきていた。
「新しい取引先……?」
それは、これから取引をするクライアントの情報が書かれているもので、頭に入れておいてほしいというもの。
そういえば、以前夕飯を一緒に行ったときに、話に出てきた取引先だ。社名とか、詳しいことを聞いていなかったっけ。
メールを読みながら、少しずつ緊張が走ってくる。
「AMI(エーエムアイ)って、これファッションブランドよね……?」
紳士服の高級ブランドで、日本人の男性が立ち上げたブランド。それも、まだ若手なのに、早くも海外のセレブに認められたと、ニュースでかなり話題になっていた。
取引相手は、そのAMIの創始者である浅沼祐一(あさぬま ゆういち)さん。まさかの元カレだなんて……。
ドキッと胸が高鳴る。翔太さんは、差し出していた手を戻すと、優しく言った。
「その話は、また今夜。ほら、行こう。業務時間が始まる」
彼は身を翻すと、エレベーターへ向かった。私はその背中を見つめながら、一歩後ろを歩いていく。
翔太さんが、今朝迎えに来てくれた気遣いや、さっきも手を差し出してくれたこと。そして、今のセリフ……。
どれもが、私の心を揺らしていて、今夜を待ち遠しく思う自分がいた──。
《彩奈、今送ったメールを見てくれるか?》
業務が始まり、今日も忙しい一日が始まる。午前の仕事が三十分過ぎたところで、翔太さんから内線電話がかかってきた。
わざわざ電話で知らせてくるくらいだから、よほど急ぎの内容なのだろう。
「はい、分かりました。すぐに確認します」
電話を切ると、メールをチェックする。すると、たしかに翔太さんからのメールがきていた。
「新しい取引先……?」
それは、これから取引をするクライアントの情報が書かれているもので、頭に入れておいてほしいというもの。
そういえば、以前夕飯を一緒に行ったときに、話に出てきた取引先だ。社名とか、詳しいことを聞いていなかったっけ。
メールを読みながら、少しずつ緊張が走ってくる。
「AMI(エーエムアイ)って、これファッションブランドよね……?」
紳士服の高級ブランドで、日本人の男性が立ち上げたブランド。それも、まだ若手なのに、早くも海外のセレブに認められたと、ニュースでかなり話題になっていた。
取引相手は、そのAMIの創始者である浅沼祐一(あさぬま ゆういち)さん。まさかの元カレだなんて……。