イジワル専務の極上な愛し方
彼が向かった先は、駅前のタワーマンション。予想できていたとはいえ、高級マンションを目の前にして、どこか気圧され気味……。

「どうした? 降りないのか?」

地下駐車場へ車を停めた翔太さんは、助手席でまだ呆然としていた私に声をかける。

彼の声に我に返り、慌ててシートベルトを外した。

「す、すみません。つい、ボーっとしちゃって」

誤魔化すように笑うと、翔太さんは小さな笑みを浮かべて私を見つめている。そんな彼の表情にドキッとしながらも、ドアを開けようとした途端、手を掴まれた。

「なにか、考えごとしてたろ?」

翔太さんにそう言われ、彼に顔を向ける。どんどん胸が高鳴っていくのを感じながら、控えめに彼を見つめた。

「どうして、そう思われるんですか……?」

「ボーっとしてたから。緊張してるんだろうけど、それ以外になにを考えてた?」

優しく聞かれ、胸が熱くなってくる。自分を分かってもらえることが、こんなにも心に響くなんて、今まで知らなかった……。

「こんな高級マンションに、翔太さんは住んでるんだなって思ったら、圧倒されちゃって……」

そう素直に言うと、翔太さんはクスッと笑った。

「彩奈は、どこまでも可愛いな。そういうところを見せられると、自分を抑えられなくなるんだけど」

「え?」

と言葉を発した瞬間、彼の唇が重なった。
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