イジワル専務の極上な愛し方
そう言うと、翔太さんは私に優しい目を向け、ギュッと抱きしめてくれた。

「もっと、俺に恋して。俺は、彩奈と一緒にいればいるほど、どんどんお前を好きになっていく」

「翔太さん……」

彼の背中に手を回し、その温もりと愛情を感じながら目を閉じる。こんなにときめく夜も、安心できる夜も初めて……。これが恋っていうのかな……。だとしたら、私は今まで本当の恋をしたことがなかったのかも……。

◇　◇　◇

「おはよう、彩奈」

唇に柔らかい感触を覚えて目を開けると、翔太さんの笑みが見えた。いつの間にか寝しまったみたいで、すっかり朝になっている。

柔らかい唇の感触は、翔太さんのキスだと分かり、朝から胸はドキドキとときめいた。

「おはようございます……。もう、朝なんですね」

ゆっくり起き上がると、サイドテーブルに置いてある時計に目を向ける。シンプルな黒色の時計だけれど、有名なブランドのロゴがあって驚いてしまった。

「そう。準備しないとな」

「はい。なんだか、あっという間でしたね」

控えめに笑みを向けながら、どこか寂しさを感じる。今夜は、もう自分のマンションへ帰らなきゃいけない。こんなに翔太さんの温もりを感じてしまったからか、未練を感じている自分にびっくりしてしまった。

「本当だよな。いくら、会社で一緒といってもさ。だから、今夜もうちへ来るだろう？」

「えっ!?」

ニコニコと笑顔で言う翔太さんに、私はあ然としつつ小さく頷いていた。

「よかった。じゃあ、いっそのこと一緒にここで暮らそうか？　それなら、毎日一緒にいられる」

「ええっ!?」

さらに驚く私に、翔太さんはニッと笑みを見せてリビングへ向かった──。
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