イジワル専務の極上な愛し方
「それでは、失礼いたします」
約一時間後、祐一さんが専務室から出てきた。彼との関係がどうだったとしても、今は”お客様”なのだから、お見送りをしなくては……。
立ち上がると、彼は笑みを浮かべて側へ来た。
「彩奈、見違えたな。学生の頃より、とても垢抜けてる」
「……ありがとうございます」
褒めてくれているんだろうけど、学生の頃はどう思っていたのかなと、意地悪く考える自分がいる。
心に響かない彼の言葉に、私は事務的にお礼を伝えただけだった。
「こうやって、再会できたのもなにかの縁かもな。彩奈、連絡先を教えてくれないか?」
「え?」
まさか、プライベートの連絡先を聞かれているの? 警戒心を持ちながら、祐一さんを見つめる。
すると彼は、困ったようにクスッと笑った。
「なんで、そんな怖い顔をするんだよ。別にいいだろう? せっかく再会できたのに、彩奈は冷たいんだな」
「それは……」
自分から私をフッておいて、どうしてそんなに軽い調子で言えるのだろう。私が学生のときより垢抜けたというなら、祐一さんはあの頃より誠実な雰囲気が薄くなった気がする。
「なにか、後ろめたいことがある? たとえば、彼氏がいるとか?」
探りを入れられるように聞かれ、内心ドキッとした。翔太さんは、私との交際を秘密にするつもりはないと言っていたけれど、まさかここで祐一さんに話すわけにはいかない。
でも、相手が誰かまでは答える必要はないのだし、恋人がいることはハッキリ伝えよう……。
「はい、今はお付き合いをしている人がいます。ですから、連絡先はお伝えできません」
約一時間後、祐一さんが専務室から出てきた。彼との関係がどうだったとしても、今は”お客様”なのだから、お見送りをしなくては……。
立ち上がると、彼は笑みを浮かべて側へ来た。
「彩奈、見違えたな。学生の頃より、とても垢抜けてる」
「……ありがとうございます」
褒めてくれているんだろうけど、学生の頃はどう思っていたのかなと、意地悪く考える自分がいる。
心に響かない彼の言葉に、私は事務的にお礼を伝えただけだった。
「こうやって、再会できたのもなにかの縁かもな。彩奈、連絡先を教えてくれないか?」
「え?」
まさか、プライベートの連絡先を聞かれているの? 警戒心を持ちながら、祐一さんを見つめる。
すると彼は、困ったようにクスッと笑った。
「なんで、そんな怖い顔をするんだよ。別にいいだろう? せっかく再会できたのに、彩奈は冷たいんだな」
「それは……」
自分から私をフッておいて、どうしてそんなに軽い調子で言えるのだろう。私が学生のときより垢抜けたというなら、祐一さんはあの頃より誠実な雰囲気が薄くなった気がする。
「なにか、後ろめたいことがある? たとえば、彼氏がいるとか?」
探りを入れられるように聞かれ、内心ドキッとした。翔太さんは、私との交際を秘密にするつもりはないと言っていたけれど、まさかここで祐一さんに話すわけにはいかない。
でも、相手が誰かまでは答える必要はないのだし、恋人がいることはハッキリ伝えよう……。
「はい、今はお付き合いをしている人がいます。ですから、連絡先はお伝えできません」